
Perfection(パーフェクション)とは?
今回ご紹介するのは、アメリカ・オハイオ州クリーブランドのPerfection Stove Company(パーフェクション・ストーブ社)が製造した石油ストーブ、No.1527です。
Perfectionの始まりは1888年。ヘンリー・パーソンズ・クロウェルとフランシス・ドルーリーが、灯油を燃料にする「ランプストーブ」を作るために立ち上げたCleveland Foundry Company(クリーブランド・ファウンドリー社)がルーツです。1894年からは持ち運びできる暖房用ヒーターの製造を始めました。
大きな転機は1901年。灯油を家庭に届けていたStandard Oil(スタンダード・オイル)が、Perfectionのストーブを自社の販売網で売り始めます。ストーブが普及すれば灯油の需要も増える、という狙いでした。その結果、1918年の時点で500万台以上のPerfectionヒーターが使われていたとされています。
社名が正式に「Perfection Stove Company」になったのは1925年。電気が地方の隅々まで行き渡る前のアメリカで、暖房や調理を支えた代表的なメーカーです。
ガラスの胴を持つ「Firelight」ヒーター
No.1527の最大の特徴は、胴の部分がガラスになっていることです。燃えている炎がガラス越しに見え、暖かさと一緒に明かりも楽しめます。
アメリカのPerfectionコレクターの資料によると、こうしたガラス胴の「Firelight」ヒーターは1925年に登場しました。「PERFECTION」の文字を楕円で囲んだガラスが最初期のもので、No.1526・1527・1690・1691・1686・1692に使われていたとされています。1930年代の1700番台からは炎の形をした別のデザインのガラスに変わり、楕円ガラスは後のモデルには合わないため、今では非常に見つけにくいパーツです。


特許番号入りの純正グローブ
今回の個体のガラスには、「PERFECTION Oil Heater」の文字とともに「U.S. PAT. NO. 1,840,698」の特許番号が入っています。

この特許はPerfection Stove Companyが1929年に出願し、1932年1月に取得した「ヒーター用チムニードラム」に関するものです。特許の説明によると、それまでガラスの筒は高さや直径がそろいにくく、ヒーターの胴に使うのは難しかったそうです。そこで上の部品と下の部品を中央でつないで締め、その間にガラスの筒をしっかり挟む構造が考え出されました。
写真でも、ガラスの中央を1本の棒が通り、上下の部品をつないでいる様子が分かります。
特許番号が入ったグローブは、特許が取得された1932年以降に作られたものと考えられます。同じNo.1527でも、特許番号のないグローブが付いた個体もあります(後半で紹介します)。
三角形のトレードマーク
胴の上部には、Perfectionのトレードマークである三角形のプレートが付いています。プレートには「TRADE MARK REG. U.S. PAT. OFF.」の文字と、モデル番号「1527」が刻まれています。
上から見た形と分解した様子
天板には放射状の模様と穴が並び、ここから暖かい空気が出ていきます。

分解すると、胴の部分を開けてタンクとバーナーを取り出せます。高さは約67cm、直径は約36cmで、部屋に置くとしっかりした存在感があります。


タンクと芯
タンクのキャップにも三角形のトレードマークが入り、真鍮の燃料計には「FULL」の目盛りがあります。


タンクには「USE ONLY NO. 500 PERFECTION WICK」の刻印があり、専用のNo.500の芯を使うことが指定されています。芯の高さは、放射状の模様が入ったつまみで調整します。

こんなPerfectionもあります(過去の取り扱い品より)
キャンプキングダムでは、これまでにもPerfectionのストーブを取り扱ってきました。その中から2台をご紹介します。
特許番号のないグローブが付いたNo.1527
こちらも同じNo.1527です。ガラスには「PERFECTION Oil Heater」の楕円エンボスがありますが、今回の個体に入っていた特許番号は見当たりません。特許の取得前後で、ガラスの表記に違いがあったと考えられます。


点灯すると、縦のリブが入ったガラス越しに炎が揺らぎます。

純白の琺瑯仕上げ No.1705
1930年代の1700番台のモデルです。本体は白い琺瑯(ホーロー)仕上げで、ガラスの胴を持つNo.1527とはまったく違った雰囲気です。


店主のひとこと
Perfectionのストーブは大きいこともあり、私がこれまでに扱えたのは数えるほどです。白い琺瑯のタイプもありますが、どのタイプでも、フレームや金属の胴体まできれいに残った個体にはなかなか出会えません。今回のようにきれいな状態のものは、本当に貴重だと感じています。
ガラス越しに揺れる炎や、長い年月を経た金属の風合いは、当時のものでしか味わえません。暖房器具というより、部屋の主役になる「味のあるストーブ」だと思います。
まとめ
Perfection No.1527は、ガラスの胴から炎が見える「Firelight」ヒーターの初期のモデルです。
「PERFECTION Oil Heater」の楕円エンボスが入った純正ガラスは後のモデルと互換性がなく、割れずに残っているものは多くありません。今回の個体のガラスには、ガラスの胴を実用化するための1932年の特許番号まで入っています。暖房器具としてだけでなく、アメリカの暮らしを支えた道具の歴史を感じられる一台です。
キャンプキングダムでは、ビンテージのストーブも取り扱っています。

