Cooker No.12は、英国軍向けに供給された箱型のマルチフューエルストーブです。オリーブ色の金属ケースに燃料タンク、バーナー、五徳、工具類をまとめて収納でき、ケースを開くとそのまま調理器具として展開できます。

英国軍の資料では、正式に「Stove, multiple fuel burner No.12」と記載されています。携帯性だけを重視した小型ストーブではなく、野外で大きな鍋を安定して加熱するための堅牢な装備です。
Cooker No.12とは?
Cooker No.12は、燃料タンクとバーナーを分け、金属パイプで接続する構造を持っています。タンクをケース前方に、バーナーを中央に配置することで、収納時のコンパクトさと使用時の安定性を両立しています。

英国軍の部品資料には、ケース、燃料タンク、バーナーなどが個別の構成部品として掲載されています。軍用品らしく、持ち運びだけでなく整備や部品交換まで考慮された設計であることが分かります。
金属ケースが風防と調理台を兼ねる
上下に分かれるケースを開くと、側面と背面の金属板がバーナーを囲みます。この構造は収納箱であると同時に、屋外で炎を守る風防としても機能します。上部には五徳があり、大型の鍋やクッカーを載せられる作りです。

燃料タンクとバーナー
円筒形タンクには加圧用ポンプと燃料口が備わり、銅管を通してバーナーへ燃料を送ります。バーナーは円形の風防で囲まれ、中央のバーナーヘッドから炎が立ち上がる構造です。


対応燃料については資料や仕様の違いを確認する必要がありますが、No.12はマルチフューエル型として扱われています。個体の表示や取扱説明に従うことが重要で、現物確認なしに使用燃料を断定するのは避けるべきでしょう。
ケースのNATOストックナンバー
本個体のケースには、メーカーを示す「TOC」、英国軍のブロードアローとみられる記号、「09」、そして「7310 99 252 7439」の刻印が確認できます。

「7310-99-252-7439」はCooker No.12を識別するNATOストックナンバーです。先頭の7310は調理・給仕用機器の分類、99は英国を示す国別コードです。「09」は製造年を示す可能性がありますが、この記事ではケースの表示として記録し、年代の断定は控えます。
工具と付属品
収納ケースには五徳のほか、漏斗、工具、丸い敷板などを収められます。未使用状態で付属品まで残る個体は、実用性だけでなく当時の納入構成を確認できるアーカイブ資料としても価値があります。


まとめ
Cooker No.12は、収納ケースそのものを風防と調理台に利用し、燃料タンク、バーナー、工具を一式で運べる英国軍用ストーブです。外観は無骨ですが、展開、燃焼、整備、再収納までを一つの箱にまとめた合理的な設計に、このモデルならではの面白さがあります。
今回掲載した個体では、Tools of Coventryの元箱、ケースのNATOストックナンバー、操作説明、燃料タンクとバーナー、付属工具まで確認できます。現物の細部を記録した写真資料としても、残しておきたい一台です。
参考資料:英国国防省公開 Army Equipment Support Publication 7310-B-100-711

